ますまちだ

数学・物理の公式と問題解説を淡々とアップします。

物理公式集32: 断熱変化

  • 断熱変化

気体が外部との熱のやり取りなしに状態が変化する現象。

 Q = \Delta U + Wで、 Q=0より

 \Delta U = -W

  • 自由膨張

気体が真空中へ膨張したとき(自由膨張)、気体は仕事をしないから、内部エネルギーと温度の変化はない。

  • 断熱変化と気体の温度

断熱膨張では気体の温度は下がり、

断熱圧縮では気体の温度は上がる。

 

物理公式集 30: 熱力学第一法則と気体の内部エネルギー

気体に外部から熱量 Qを加えたとき:

  • 体積一定の場合

気体は外部に仕事をしないから W=0となり、加えた熱量がそのまま内部エネルギーの増加となる。つまり \Delta U = Q

  • 体積が増加する場合

体積が増加すると、気体は外部に W>0の仕事をするから、増えた熱量から Wを引いたものが内部エネルギーの増加量となる。

 \Delta U = Q - W

 

  •  Qの符号の意味

 Q>0 : 気体に外部から熱が加えられた

 Q<0 : 気体から外部に熱が放出された

  •  \Delta Uの符号の意味

 \Delta U>0 : 気体の内部エネルギーが増加

 \Delta U<0 : 気体の内部エネルギーが減少

  •  Wの符号の意味

 W>0 : 気体が外部に仕事をした

 W=0 : 気体が外部に仕事をしない、仕事をされない

 W<0 : 気体が外部に仕事をされた

仕事 Wは、気体の状態方程式 PV=nRTより

 P(V+\Delta V)=nR(T+\Delta T)

なので、

 W=P \Delta V = nR\Delta T

  • 気体のする仕事と内部エネルギーの変化

 \displaystyle \Delta U= \frac{3}{2} nR \Delta T

 

 

 

物理公式集 29 : 気体の内部エネルギー

  • 気体の内部エネルギー

 \displaystyle U = \frac{3}{2}RT [J]

 \displaystyle \Delta U = \frac{3}{2}R \Delta T [J]

  • 内部エネルギーの保存

外部と熱のやり取りがないとき、気体を混合しても混合の前後で、気体の全内部エネルギーは保存される。

  • 熱力学第一法則

気体に Q[J]の熱量を加えたとき、気体の内部エネルギーが \Delta U[J]だけ増加し、外部に W [J]の仕事をしたとすれば、エネルギー保存の法則から

 Q=\Delta U + W

  • 気体のする仕事

 W = P \times \Delta V [J]

物理公式集28: 気体の状態方程式

  • 気体の圧力

 \displaystyle P=\frac{2}{3} \times \frac{N}{V} \times \frac{1}{2} m \bar{v^2}

速さ vの平均値の自乗を \bar{v^2}とする

  • 気体の圧力と密度、分子速度

 P=\frac{1}{3} \rho \bar{v^2}

証明:

1辺 lの立方体 Aを考える。

 v^2 = v_x^2 + v_y^2 + v_z^2

 v_x = v_y = v_zなので、 \bar{v_x^2} = 1/3 \bar{v^2}

N個の分子によりAが受ける力は

 \displaystyle F = \frac{Nm \bar{v_x^2}}{l} = \frac{Nm\bar{v^2}}{3l}

Aが受ける圧力Pは

 \displaystyle P = \frac{F}{l^2} =  \frac{Nm\bar{v^2}}{3l^2} =  \frac{Nm\bar{v^2}}{3V}

ゆえに

 \displaystyle P =\frac{2}{3} \times \frac{N}{V} \times \frac{1}{2} m \bar{v^2}

  • 1分子の平均運動エネルギーと温度

 \displaystyle \frac{1}{2} m \bar{v^2}=\frac{3}{2} \frac{R}{N_0}T = \frac{3}{2} kT

定数 k = R/N_0ボルツマン定数という。

 k = 1.38 \times 10^{-23} [J/K]

  • 温度上昇と分子の平均運動エネルギーの増加量

 \displaystyle \Delta E = \frac{3}{2} k \Delta T [J]

  • 気体分子の自乗平均速度

 \displaystyle \sqrt{\bar{v^2}} = \sqrt{\frac{3RT}{mN_0}} = \sqrt{\frac{3RT}{M \times 10^{-3}}} [m/s] 

 

 

物理公式集27: 気体分子の間隔・速さ

  • 気体分子の間隔・速さ

気体分子の間隔は、液体や固体と比較しても非常に大きく、標準状態では 3.3 \times 10^{-9}[m]位で速さも大きい。(ex. 0℃における O_2の速さは461 m/s)

  • 1分子の1回の衝突により壁が受ける力積

気体分子と壁の衝突は完全弾性衝突とみなせる

 \displaystyle ft = 2mv

  • 1分子が壁に与える力積の総和

1辺が l [m]の立方体容器の壁に垂直に、気体分子が1秒間に壁に与える力積の総和は

 \displaystyle f\times 1 = 2 mv \times \frac{v}{2l}=\frac{mv^2}{l}

 2l進むごとに1回衝突

  • ボイルの法則と気体の分子運動

気体分子の速さは温度のみによる。温度一定のもとで気体の体積を半分にしたとき、圧力が2倍になるのは、気体の入っている容器の壁に衝突する回数が2倍になるためである。

 

物理公式集26: シャルルの法則

  • シャルルの法則

定量の気体の体積は、圧力一定のもとでは、温度が1℃変化すると、0℃の時の体積 V_0の1/273だけ変化する。温度 t[℃]のときの体積 V

 \displaystyle V = V_0 (1+\frac{t}{273})

これは、「一定量の気体の体積 V絶対温度 Tに比例する」といえる。

 \displaystyle \frac{V}{T} = 一定

  • 気体の密度と体積と重さ

 \displaystyle \rho V = m (一定)

 \displaystyle \rho T = 一定

  • 物体の浮力

密度 \rhoの気体または液体中の体積  Vの物体は、大きさ \rho V gの上向きの力を受ける。

  • ボイル・シャルルの法則

 \displaystyle \frac{pV}{T} = 一定

  • 水中の気泡

水中の気泡は気体の量が一定なのでボイル・シャルルの法則に従って変化する。この時、気泡の圧力はその深さでの水圧と大気圧との和と釣り合っている。水圧は10m深くなるごとに1atmずつ増すから、

 \displaystyle P = 1+ \frac{h}{10} \times 1 atm